近年、高性能なゲーミングモニターやスマートフォンの普及に伴い、「120fps動画」という言葉を目にする機会が増えました。特に動きの速いゲームやスポーツ観戦、映画のような滑らかな映像表現を求める場面で注目されています。
しかし、「60fpsと比べて具体的に何が違うの?」「視聴するには特別な機材が必要なの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、120fps動画の基本から、60fpsとのフレームレート比較、視聴・ダウンロード方法、そしてAI技術を活用した簡単な作成方法まで、専門的な視点から分かりやすく解説します。
120fps動画の基本:フレームレート(fps)とは?
そもそも「fps」とは「frames per second」の略で、1秒間の動画が何枚の静止画(フレーム)で構成されているかを示す単位です。例えば、パラパラ漫画を思い浮かべると分かりやすいでしょう。パラパラめくる枚数が多ければ多いほど、動きは滑らかに見えます。動画もこれと全く同じ原理です。
- 30fps: 1秒間に30枚の静止画。日本のテレビ放送で採用されており、私たちにとって最も馴染み深い滑らかさです。
- 60fps: 1秒間に60枚の静止画。一般的なPCゲームやYouTube動画で広く使われ、30fpsよりも明らかに滑らかな映像として認識されます。
- 120fps: 1秒間に120枚の静止画。60fpsのさらに倍のフレーム数で構成され、非常に高いレベルの滑らかさを実現します。
大手カメラメーカーのキヤノンも、120fpsは「肉眼では捉えにくい一瞬のシーンをスローで印象的に表現できる」と解説しており、プロの映像制作現場でもその価値が認められています。
120fpsと60fpsのフレームレート比較:その違いは体感できるか?
多くの人が抱く最大の疑問は、「120fpsと60fpsの違いは肉眼で見てわかるのか?」という点でしょう。このフレームレート比較は、個人の感覚や視聴環境に大きく左右されます。
滑らかさ(スムーズさ)の違い
結論から言うと、特に動きの速いシーンでは、その差は明確に体感できます。
- ゲーム: FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)やレースゲームなど、一瞬の判断が勝敗を分けるジャンルでは、120fpsの滑らかさが敵の動きの視認性を高め、エイム精度を向上させるなど、プレイにおいて大きなアドバンテージとなります。
- 動画視聴: スポーツの決定的な瞬間や、動物が素早く動くシーンなどでは、60fpsで発生しがちなモーションブラー(残像)が大幅に軽減され、細部までくっきりと捉えることができます。
普段から120fpsの環境に慣れている人が60fpsの映像を見ると、少しカクついて見えることがあるほど、その差は歴然としています。
データ量と画質の問題
一方で、フレームレートが高ければ高いほど良い、というわけではありません。120fps動画には注意すべき点もあります。
- データ容量: 当然ながら、1秒あたりのフレーム数が倍になるため、動画のデータ容量も単純計算で60fpsの約2倍になります。保存するストレージ容量を圧迫するほか、アップロードやダウンロードにも時間がかかる可能性があります。
- 画質: 同じビットレート(データ量)の制限下でフレームレートを上げると、1フレームあたりに割り当てられるデータ量が減少します。これにより、理論上は画質が若干劣化する可能性があります。高画質を維持したまま120fpsを実現するには、より高いビットレート設定が必要になります。
視聴・再生環境の重要性
最も重要な点は、120fps動画の真価を体験するには、120Hz以上に対応したディスプレイ(モニターやスマートフォン)が必須であるという点です。Hz(ヘルツ)は、ディスプレイが1秒間に画面を更新できる回数を示すリフレッシュレートの単位です。
たとえ120fpsの動画データがあっても、一般的な60Hzのモニターで再生した場合、実際に表示されるのは60fpsまでとなり、その差を体感することはできません。
120fps動画はどこで視聴・ダウンロードできる?
120fps動画を体験してみたい場合、どこで見つければよいのでしょうか。幸い、近年では多くのプラットフォームで高フレームレート動画が共有されています。
- YouTube: 最も手軽なプラットフォームです。「120fps demo」や「4K 120fps」などで検索すると、風景、ゲーム、CGなど様々なジャンルの高精細なデモ動画が見つかります。#120fpsのハッシュタグで探すのも良い方法です。
- ニコニコ動画: 日本のユーザーにはお馴染みのニコニコ動画でも、「120fps」というタグで検索すると、多くのアニメやゲーム関連の動画が投稿されています。
- Pexels / Pixabay: これらは高品質な写真や動画を無料で提供しているストックサービスです。「120fps」と検索すれば、商用利用も可能な素材動画をダウンロードでき、自身のモニター性能のテストや編集素材として活用できます。
- Videvo: こちらも多くの120fpsストック映像を提供しており、個人利用から商用プロジェクトまで幅広く対応しています。
新しいモニターの性能を試したい場合、これらのサイトで「4K 120fps demo video」などを検索し、ダウンロードして再生してみるのが最も確実な方法です。
自宅で120fps動画を作成・編集する方法
120fps動画は、もはやプロだけの領域ではありません。適切な機材やツールを使えば、誰でも作成・編集が可能です。
120fpsで撮影可能なカメラ
まず、ネイティブで120fps動画を撮影する方法です。近年、多くの高性能カメラが4K解像度での120fps撮影に対応しています。
- Canon: EOS R5, EOS R3
- Sony: α7S III, Xperia Pro-I
- Nikon: Z9
- GoPro: Hero10, Hero11
- スマートフォン: iPhone 13 Pro以降のモデル、ハイエンドAndroidスマートフォンなど
これらの機材を使えば、現実世界の動きをそのまま滑らかな120fps動画として記録できます。
AIフレーム補間でどんな動画も120fps化する
「でも、高価なカメラは持っていない…」という方もご安心ください。AI技術の進化により、既存の30fpsや60fpsの動画から、非常に自然な120fps動画を生成することが可能になりました。これを「フレーム補間(フレームインターポレーション)」技術と呼びます。
AIは、フレームとフレームの間の動きを精密に予測し、本来そこにあるべき中間フレームを自動で生成します。これにより、まるで最初から高フレームレートで撮影されたかのような、滑らかな映像が生まれるのです。
この技術を手軽に利用できるのが、PixelFox AIのようなオンラインツールです。
PixelFoxの「AIフレーム補間」機能を使えば、難しい設定は一切不要。お手持ちの動画ファイルをアップロードし、目標のフレームレート(例:120fps)を選択するだけで、AIが自動的に処理を実行。カクカクした動画を、驚くほど滑らかな映像に変換できます。アクションシーンやスポーツのハイライトを、よりドラマチックなスローモーション映像として生まれ変わらせることも簡単です。
さらに、古い低解像度の映像であれば、先に「AI動画アップスケーラー」で4K解像度に高画質化してからフレーム補間を行うことで、より高品質な120fps動画を作成するという使い方も可能です。
120fps対応の動画編集ソフト
撮影または生成した120fps動画を編集するには、対応するソフトウェアが必要です。主要な動画編集ソフトの多くは、高フレームレートのタイムライン設定をサポートしています。
- DaVinci Resolve
- Adobe Premiere Pro
- Final Cut Pro
- VEGAS Pro
これらのソフトを使えば、120fpsの素材を劣化させることなく、カット編集や色調整、テロップの追加などが行えます。
まとめ:120fps動画を最大限に活用するために
120fps動画は、60fpsを凌駕する圧倒的な滑らかさと、高品質なスローモーション表現を可能にする優れたフォーマットです。その真価を体験するには120Hz対応のディスプレイが不可欠ですが、ゲームや映像鑑賞の体験を格段に向上させるポテンシャルを秘めています。
かつてはプロの専用機材が必要でしたが、現在では高性能な一般向けカメラやスマートフォンでも撮影が可能になりました。さらに、PixelFox AIのようなツールの登場により、特別な撮影機材がなくても、AIフレーム補間技術を使って手持ちの動画を滑らかな120fps動画へとアップグレードできます。
この記事を参考に、まずはYouTubeなどで120fps動画を視聴し、その違いを体感してみてください。そして、その滑らかさに魅了されたなら、ぜひPixelFox AIを使って、あなた自身の動画を次世代の映像品質へと進化させてみてはいかがでしょうか。